猫のために必要なことは?防災グッズや災害時の対応を解説!

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災害が発生した際、大切な家族である猫を守れるのは飼い主だけです。

環境省はペットとの「同行避難どうこうひなん」を推奨すいしょうしていますが、実際の避難所生活には物資不足や周囲への配慮など、多くの課題が待ち受けています。

この記事では、災害時に直面する問題と、それらに対する準備や行動指針について解説します。

災害時によくある猫の悩み

災害が発生した際、猫と飼い主は普段とは全く異なる環境に身を置くことになります。

過去の災害事例においても、準備不足が原因で多くのトラブルが報告されています。

ここでは、避難生活で直面しやすい具体的な悩みを4つの観点から解説します。

トイレなど清潔面での悩み

避難生活において最も深刻な問題の一つが排泄はいせつに関する悩みです。

猫は非常にきれい好きな動物であり、普段使い慣れていないトイレや、汚れたトイレでは排泄を我慢する傾向にあります。

しかし、避難所では猫砂の配給は後回しにされることが多く、新聞紙などで代用しなければならない場面も多々あります。

また、慣れない環境でのストレスから、トイレ以外の場所で粗相そそうをしてしまうケースも少なくありません。

排泄を我慢し続けることは、膀胱炎ぼうこうえん尿道閉塞にょうどうへいそくなどの疾患しっかんに直結するため、清潔なトイレ環境の確保は生命維持における最重要課題といえます。

さらに、排泄物はいせつぶつの臭いは周囲の人々とのトラブルの原因にもなりやすく、消臭対策も同時に求められます。

食事や飲み水の悩み

災害時には人間用の食料や水も不足しますが、ペット用の物資はさらに手に入りにくくなります。

自治体の備蓄にはペットフードが含まれていない場合も多く、救援物資が届くまでには数日から1週間以上かかることも想定されます。

猫は食感や香りに敏感なため、普段食べ慣れていないフードが配給されたとしても、警戒して口にしないことがあります。

特に療法食りょうほうしょくを必要とする猫や、高齢で食欲が細い猫の場合、食事の拒否は急速な体力低下を招くため、注意が必要です。

また、水不足から飲水量が減ると、腎臓病じんぞうびょう尿路結石にょうろけっせきのリスクが高まるため、ウェットフードなど水分補給ができる食事の確保も課題となります。

心身の健康状態についての悩み

猫は環境の変化に極めて敏感な動物です。

余震の揺れ、サイレンの音、大勢の人の声、知らない匂いなど、避難所や車中泊での生活は猫にとって過酷なストレス環境となります。

過度なストレスは免疫力の低下を招き、猫風邪などの感染症にかかりやすくなるほか、下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こすこともあります。

また、恐怖からパニック状態になり、狭いケージの中で暴れて怪我をしてしまうことや、逆に動かなくなり「うつ状態」のようになってしまうケースも報告されています。

周囲の人や動物とのトラブル

避難所には、動物が好きな人ばかりが集まるわけではありません。

猫アレルギーを持つ人や、動物が苦手な人も同じ空間で生活することになります。

猫の鳴き声、排泄物の臭い、抜け毛の飛散などは、避難所内での深刻なトラブルに発展する可能性があります。

また、他の犬や猫との接触による喧嘩や、感染症の蔓延まんえんも懸念されます。

不特定多数の人や動物が密集する環境下では、飼い主が責任を持って猫を管理し、周囲への配慮を徹底しなければなりません。

事前に準備しておくと安心なこと

災害発生時の混乱を最小限に抑え、猫の安全を確保するためには、普段から入念に準備しておくことが重要です。

災害が起きてからできることは限られています。

ここでは、優先的に取り組むべき6つの準備について解説します。

キャリーケースに慣れさせる

いざ避難しようとした際、猫が逃げ回って捕まえられず、避難が遅れてしまうケースが後を絶ちません。

キャリーケースを「病院に行くときの怖い乗り物」ではなく、「安心できる隠れ家」として認識させておく必要があります。

日常的に部屋の中にキャリーケースを出し、扉を開けたままにしておきましょう。

中にお気に入りの毛布やおもちゃを入れるなどして、猫が自ら入ってくつろげる空間にしておくことで、緊急時でもスムーズに収容でき、避難先でもそのままハウスとして活用できます。

予防接種を怠らない

避難所など多くの動物が集まる場所では、猫ウイルス性鼻気管炎びきかんえんや猫カリシウイルス感染症などの感染症が蔓延するリスクが高まります。

これらの病気は、ワクチン接種によって予防、あるいは症状の軽減が可能です。

年に1回の混合ワクチン接種を確実に行っておくことは、愛猫を守るだけでなく、周囲の猫への感染拡大を防ぐマナーでもあります。

避難所によっては、ワクチンの接種証明書の提示を求められる場合もあるため、証明書は防災グッズと一緒に保管しておきましょう。

かかりつけ医への相談

持病がある猫や高齢の猫の場合、避難生活が健康に与える影響について、事前にかかりつけの獣医師に相談しておくことを推奨します。

常備薬がある場合は、災害時に薬が切れないよう、常に数日分から1週間分程度の予備を手元に置いておく「ローリングストック」を心がけてください。

また、万が一かかりつけの動物病院が被災して診療できない場合に備え、近隣の別の動物病院や、夜間救急の連絡先もリストアップしておくと安心です。

避難先のルールを確認

防災計画において、指定避難所が「ペットの同行避難」を受け入れているか、事前に確認が必要です。

自治体のホームページや防災マップで確認するか、役所の担当課に問い合わせておきましょう。

ただし「同行避難が可能」であっても、必ずしも「同伴避難(同じスペースで過ごすこと)」ができるわけではありません。

多くの場合、人の居住スペースとペットの飼育スペースは分けられます。

どのような環境で管理されるのか、ケージの持参が必要かなど、具体的なルールを把握しておくことが重要です。

迷子札やマイクロチップの装着

災害の衝撃で窓やドアが開き、パニックになった猫が屋外へ脱走してしまう事例は数多くあります。

その際、首輪に飼い主の連絡先を記載した迷子札を装着しておくことは有効です。

しかし、首輪は外れてしまう可能性があるため、確実な身元証明としてマイクロチップの装着を強く推奨します。

2022年6月以降に販売された犬猫には装着が義務化されていますが、それ以前から飼育している場合も、動物病院で装着が可能です。

環境省のデータベースへの登録情報が最新のものになっているかも、定期的に確認してください。

猫用防災バッグの購入

人間用の防災リュックを用意している家庭は増えていますが、猫専用の防災バッグの準備はできていますか?

災害時には、猫用品を個別に集めて持ち出す時間的余裕はありません。

必要な物資をひとまとめにした「猫用防災バッグ」を用意し、玄関先などすぐに持ち出せる場所に置いておくことが、生存率を高める鍵となります。

猫用防災バッグとは?

引用元:https://itumosimo.jp/cat/

猫用防災バッグとは、災害時の避難生活において、猫の生命維持健康管理に必要な物資をセットにしたものです。

人間用の防災セットとは異なり、猫の習性や身体的特徴に特化したアイテムで構成されています。

セット内容と料金相場

一般的に市販されている猫用防災バッグには、フード、水、食器、簡易トイレ、猫砂、消臭袋、救急セット、防寒具などが含まれています。

料金相場は、内容の充実度によって異なりますが、5,000円~20,000円程度が一般的です。

安価なものは最低限の消耗品のみの場合が多く、高価なものはキャリー機能が付いたバッグや、高品質なポータブルトイレが含まれています。

防災バッグを用意するメリット

猫用の防災バッグを用意することには、単に「物を持っている」以上の大きなメリットが3つあります。

  1. 避難の「初動」が劇的に速くなる
    災害発生時、猫を探して捕獲するだけでも大変な労力を要します。その上でフードやトイレを家の中から探し回っていては、逃げ遅れるリスクが高まります。防災バッグがあれば、猫をキャリーに入れるだけで避難を開始できます。
  2. 避難所での「居場所」を確保しやすくなる
    周囲への迷惑を最小限に抑えるためのトイレや消臭グッズ、ケージなどが揃っていることを示せれば、避難所の運営側や他の避難者からの理解も得やすくなります。
  3. 猫自身の「安心感」につながる
    普段から防災バッグの中身(毛布やおもちゃなど)に自分の匂いをつけておくことで、見知らぬ場所でも落ち着きを取り戻しやすくなります。

防災バッグを選ぶ際の基準

数ある防災バッグの中から、ご自身の愛猫に最適なものを選ぶための3つの基準を解説します。

①持ち運びやすさと重量

災害時は、足元の悪い道を歩いて避難しなければならない可能性があります。

自身の手荷物に加え、猫(体重3〜6kg程度)と猫用物資を持つことを想定してください。

両手が自由になる「リュックタイプ」が最もおすすめです。

また、バッグ自体の重量が軽く、かつ肩紐が幅広でクッション性があれば、身体への負担も少ないでしょう。

②トイレ用品の充実度

猫のトイレ問題は最優先事項であり、単に「猫砂が入っている」だけでなく、「折りたたみ式のトイレ容器」が含まれているかが重要なポイントです。

段ボールなどで簡易トイレを作ることも可能ですが、耐久性や耐水性に劣ります。

しっかりとした素材のポータブルトイレがセットになっているもの、あるいは別途収納できるスペースがあるものを選びましょう。

③猫用ケージが付属している

避難所では、猫を自由に歩かせることはできず、原則としてケージ内での生活を強いられます。

身体を動かせない状態が長時間続くと、猫も人間同様に「エコノミークラス症候群」や強烈なストレスによる体調不良を引き起こすリスクがあります。

そのため、避難先で広げて居住スペースを確保できる「ポータブルケージ」がセットになっているもの、あるいはリュック自体が拡張してケージになる機能を持ったものを選ぶことが、猫の健康を守るために非常に重要です。

災害が発生した際の対応

実際に災害が発生した際、どのような行動をとるべきか。

状況ごとの対応をシミュレーションしておきましょう。

自宅から避難する際の対応

揺れが収まったら、まずは飼い主自身の安全(靴を履く、出口の確保)を確認した上で、猫の確保に向かいます。

パニックになった猫は狭い場所に隠れる習性があるため、無理に引きずり出そうとせず、バスタオルや洗濯ネットを使って優しく、かつ素早く包み込みます。

洗濯ネットに入れることで猫の動きが制限され、脱走防止になると同時に、落ち着かせる効果も期待できます。

キャリーケースに入れたら、必ず脱走防止フックを装着し、扉のロックを確認して避難場所に向かってください。

避難所での対応

避難所での生活は、短期と中長期で対応のポイントが変わります。

短期的な対応(避難直後〜数日)

避難所に到着したら、まずは係員の指示に従い、ペットの受け入れスペースを確認します。

ケージやキャリーケースは、壁際などの少しでも静かな場所に設置しましょう。

最初の数日は猫も極度の緊張状態にあり、食事や排泄をしないことがあります。

無理に食べさせようとせず、ケース全体を大きな布やタオルで覆い、視界を遮断してあげることが重要です。

暗く狭い空間を作ることで、猫は安心感を得ることができます。

中長期的な対応(1週間〜)

避難生活が長引く場合、衛生管理が重要になります。

抜け毛が飛び散らないよう、こまめに粘着テープ(コロコロ)で掃除を行い、排泄物は臭いが漏れない防臭袋に入れて指定の場所に廃棄します。

また、エコノミークラス症候群を防ぐため、可能であればリードをつけてキャリーから出し、少し運動させる時間を作ることも検討してください。

ただし、脱走には細心の注意が必要です。

周りの避難者とコミュニケーションを取り、「猫がいます」と伝えておくことで、トラブルを未然に防ぎ、困った時に助け合える関係性を築くことも、長期的な避難生活を乗り切るコツです。

まとめ

災害はいつ、どのような形でやってくるか予測できません。

しかし、適切な「物」の準備「心」の準備があれば、愛猫を守り抜くことは可能です。

猫用防災バッグの用意は、単なる荷造りではなく、愛猫の命をつなぐための保険です。

まだ準備ができていない方は、ぜひ具体的な行動を起こしてください。

今日準備したその防災バッグが、明日、あなたと愛猫の未来を救うことになるかもしれません。

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